木造住宅の耐震改修に補助金はいくら出る?神奈川の市の制度と申請の順番

2026-08-25 公式ページ・交付要綱・手引き確認のうえ執筆

窓や給湯器の補助金は国が全国一律でやっていますが、木造住宅の耐震改修の補助金は、国ではなく市区町村が窓口です。そのため金額も条件も市ごとにまったく違います。この記事では、当サイトで公式ページを実際に読んで登録した神奈川県内の制度をもとに、「いくら出るのか」「どういう順番で申請するのか」を初めて調べる人向けに整理します。

まず結論:金額は市によって90万〜180万円と幅がある

耐震改修工事そのものへの補助額は、確認できた範囲で次のとおりでした(いずれも2026年8月25日に公式ページで確認、上限額)。

  • 川崎市:建物全体の改修で上限130万円(工事費の5分の4)。住民税が非課税の世帯は上限180万円。一部だけを直す部分改修は上限100万円
  • 横浜市:上限115万円。過去2年住民税が非課税の世帯は上限155万円。さらに断熱などの省エネ改修を同時に行うと最大100万円が加算される
  • 綾瀬市:工事費(税抜)の3分の2で上限100万円。診断・設計・工事監理・除却にもそれぞれ補助あり
  • 座間市:工事費の2分の1で上限70万円。市内の施工業者に頼むと20万円が上乗せされ、合計で上限90万円

ポイントは「上限額」と「補助率」の両方で決まることです。たとえば工事費が150万円なら、川崎市(5分の4)は120万円、座間市(2分の1)は75万円と、同じ工事でも差が出ます。上限額の大きさだけで比べないでください。

対象になるのはどんな家?

共通しているのは「古い基準で建てられた木造の一戸建て」であることです。ただし線の引き方は市ごとに違い、しかも最近ゆるくなる方向で見直されています。

  • 座間市:平成12年(2000年)5月31日以前に建てられた在来工法の木造2階建て以下。ツーバイフォー(枠組壁工法)やプレハブは対象外
  • 横浜市:平成12年5月末以前に建築確認を受けた2階建て以下の在来軸組構法の個人住宅で、耐震診断の上部構造評点が1.0未満のもの
  • 綾瀬市:令和8年度から対象を拡充し、昭和56年基準だけでなく平成12年5月31日以前に建築確認を受けたものまで対象に
  • 川崎市:令和8年4月から拡充され、過去の震災で一部被害がある平成12年5月以前築の新耐震基準の木造住宅も追加された

「うちは新耐震(昭和56年6月以降)だから関係ない」と思い込んでいる人ほど、いちど確認する価値があります。2000年5月以前の家は、新耐震基準であっても壁の配置や金物の基準が今より弱く、対象に含める市が増えています。

所得制限は、確認した4市とも設けられていませんでした。ただし川崎市と横浜市は住民税非課税世帯の上限額を高くする形で配慮しています(所得が低いほど不利になる制度ではありません)。

申請の順番:いきなり工事は絶対にダメ

耐震改修の補助金は、窓や給湯器の補助金以上に「順番」が厳格です。おおむね次の流れになります。

  1. 市の無料相談・無料診断を受ける(座間市は木造住宅無料耐震相談会への参加が申請の条件。川崎市は耐震診断士派遣制度とセット運用)
  2. 耐震診断を受け、上部構造評点が1.0未満(=倒壊の可能性がある)と判定される
  3. 耐震設計を作る(綾瀬市は設計にも上限8万円の補助あり)
  4. 市に補助金の交付申請をして、交付決定の通知を受け取る
  5. 通知が届いてから工事を契約・着工する
  6. 工事完了後に完了実績報告を出し、補助金が支払われる

綾瀬市の公式ページは「市の交付決定が届いてから診断・設計・工事に着手する(事前着手は不可)」と明記しています。先に工事を始めてしまうと、条件を満たしていても補助はゼロです。ここは国の制度と共通する鉄則なので、申請の流れと必要書類もあわせて読んでおくと安全です。

また、診断や設計は市が登録した建築士事務所に頼む必要がある市が多い点にも注意してください(綾瀬市・座間市とも名簿方式)。知り合いの工務店に一式でお願いする、という進め方ができないことがあります。

費用の立て替えがきついときの仕組み

耐震改修は工事費が数百万円になることもあり、「補助金が出るのは工事の後」という順番がネックになります。綾瀬市には委任払い制度があり、補助金を市から直接工事業者に支払ってもらうことで、申請者は自己負担分だけを用意すればよくなります(市の公式チラシの例:工事費170万円・補助100万円なら、手元で用意するのは70万円)。同じ呼び方でなくても似た仕組みを持つ市はあるので、使えるかどうかを最初に窓口で聞いておくと、資金計画が立てやすくなります。

工事まではできない、というときの選択肢

家全体の耐震改修は費用も生活への影響も大きいので、寝室だけを守る方法にも補助があります。川崎市の耐震シェルター・防災ベッド設置助成制度は、対象経費の10分の9以内で耐震シェルターが上限30万円、防災ベッドが上限10万円(同一住宅で両方は不可、1階への設置が条件)。綾瀬市も同じメニューを上限18万円で用意しています。高齢のご家族が1階で寝ている、という家では現実的な選択肢です。

断熱リフォームと同時にやると得か

横浜市の制度には、耐震改修と一緒にZEHレベルの省エネ改修(断熱等性能等級5かつ一次エネルギー消費量20%削減)を行うと最大100万円を加算する仕組みがあります。壁を開ける耐震工事のついでに断熱も入れる、という工事の相性の良さを踏まえた設計です。

ただし条件があります。横浜市の申請の手引き(第8版・2026-08-25に実読)では、この省エネ加算は「横浜市脱炭素リノベ住宅推進事業」とは併用できないと明記されています。さらに、補助対象外の要件として「本事業の補助を受けて実施する耐震改修工事の費用に対して、国または地方公共団体等から他の補助金の交付を受けようとするもの」が挙げられており、同じ工事費に国の補助を重ねる二重取りはできません。申請書の様式にも「他の補助金の交付を受ける場合は、併用の可否を含め各所管部署に確認すること」と書かれています。

「耐震は市、窓の断熱は国の先進的窓リノベ2026事業」というように、費用の区分が分かれていれば重ねられる可能性はありますが、判断するのは各制度の窓口です。考え方の基本は補助金の「併用」入門にまとめています。

受付終了に注意:締切より先に予算が尽きる

今回確認した4市は、いずれも2026年8月25日時点で受付中でしたが、締切日を公表していない「随時受付」型がほとんどで、予算がなくなった時点で終わりです。座間市は公式に「予算上限に達した時点で締め切り」としています。実際、神奈川県内では海老名市の設備補助が2026年8月25日に予算上限到達で受付終了しており、数日単位で状況が変わります。詳しくは補助金の予算がなくなったらどうなる?をご覧ください。

耐震改修は、相談・診断・設計だけで数か月かかることも珍しくありません。年度の後半に動き出すと、診断が終わったころには予算が尽きていた、ということが起こり得ます。やると決めたら、まず市の無料相談の予約から。それが一番確実な最初の一歩です。

本記事は2026-08-25時点の各市の公式ページ・交付要綱・手引きの記載に基づきます。金額・対象条件・受付状況は変わることがあり、市によっては予算到達で受付を終了している場合があります。申請前に必ず各市の公式ページと担当窓口でご確認ください。工事業者の選び方はリフォーム業者の選び方もご覧ください。