賃貸・マンションでも住宅の補助金は使える?立場別の可否

2026-08-24 公式サイト確認・執筆

窓の断熱や給湯器の補助金を調べていると、説明のほとんどが「持ち家の一戸建て」を前提に書かれていることに気づきます。では、賃貸アパートに住んでいる人や、分譲マンションの一室を持っている人は、まったく使えないのでしょうか。答えは「制度によって大きく違う」です。国の制度は立場の幅が広く、市区町村の制度は「持ち家に自分で住んでいる人」に絞られがち、という傾向があります。ここを取り違えると、申請の直前で対象外だと分かることになります。

まず押さえる3つの立場

住宅の補助金で「誰が申請できるか」を考えるとき、次の3つのどれに当てはまるかで見通しが立ちます。

  • 建物や部屋を所有していて、自分が住んでいる(持ち家の戸建て・分譲マンションの区分所有者)
  • 所有しているが、自分は住んでいない(賃貸に出している大家さん)
  • 住んでいるが、所有していない(賃貸の入居者、いわゆる賃借人)

1つめはほぼどの制度でも対象です。判断が分かれるのは2つめと3つめで、さらにマンションの場合は「自分の部屋の中(専有部分)の工事か、建物全体(共用部分)の工事か」という軸が加わります。

国の制度は立場の幅が広い

窓リノベは賃借人も管理組合も対象になる

先進的窓リノベ2026事業は、対象者の幅がとても広い制度です。公式サイトの対象要件のページ(2026-08-24に確認)には、補助を受けられる「住宅の所有者等」として次の4つが並んでいます。

  • 住宅を所有する個人またはその家族
  • 住宅を所有し、賃貸に供する個人または法人
  • 賃借人
  • 集合住宅の管理組合・管理組合法人

つまり賃貸の入居者本人も、大家さんも、マンションの管理組合も、それぞれ申請できる立場として明記されています。ただし工事の発注者になる必要があるため、賃貸の入居者が使う場合は、当然ながら大家さんの承諾を得て自分が工事を発注する形をとることになります。

マンションで気をつけたいのが、対象にならない工事の例に「外気に面していない窓(ガラス)およびドアの交換工事」が挙げられている点です。公式サイトは具体例として、玄関が内廊下に面している集合住宅のドア交換を挙げています。断熱の効果が見込めない部分は対象外、という考え方です。

給湯省エネは「賃貸用」が別の事業になっている

給湯省エネ2026事業は、戸建てで2台まで、共同住宅等で1台までという台数の枠があり、分譲マンションの一室も対象です。一方で賃貸集合住宅のオーナー向けには「賃貸集合給湯省エネ2026事業」という別事業が用意されています。自分が住んでいない賃貸物件の給湯器を替える場合は、こちらを調べることになります。同じキャンペーンの中でも入り口が分かれているので、事業名を間違えないよう注意してください。

みらいエコ住宅は賃貸住宅の新築にも区分がある

みらいエコ住宅2026事業は、申請の区分が「注文住宅の新築」「新築分譲住宅の購入」「賃貸住宅の新築」「リフォーム」に分かれています。賃貸物件を建てる側にも道が用意されている形です。なおリフォームの区分については所得制限も子育て世帯などの限定もなく、全世帯が対象です。

神奈川県内の市の制度は「持ち家に自分で住む人」が中心

ここが国の制度といちばん違うところです。当サイトに掲載している神奈川県内・国あわせて51制度のうち、賃貸を対象に含むと公式資料ではっきり確認できたものは3制度(鎌倉市1件・逗子市2件)にとどまります(2026-08-24時点)。ほかに住宅種別の限定そのものが書かれていない制度も数件ありますが、市の制度の多くは交付要綱で「自ら居住する市内の住宅」と定めています。

対象外と明記している例

  • 小田原市の地球温暖化対策推進事業費補助金は、交付要綱で対象者を「自ら居住又は居住を予定している市内の住宅に設備を導入する個人」とし、設備は自己所有のものに限る(リース・中古品は対象外)と定めています。実績報告のときに、その住宅に住んでいることが分かる住民票の写しも必要です。大家さんも入居者も対象になりません。
  • 南足柄市の断熱リフォーム補助は、対象を既存の戸建て住宅のみとしており、集合住宅・賃貸・新築は対象外です。
  • 神奈川県の太陽光・蓄電池の共同購入では、マンションやアパート、賃貸物件は「その物件のオーナー(所有者)」であれば参加できますが、賃貸に住んでいる借り主は参加できません(事務局の公式FAQで確認)。所有者かどうかで線を引いている典型例です。

賃貸でも道がある例

同じ「賃貸OK」でも、逗子市は入居者本人が申請でき、鎌倉市は大家さんが申請する形と、中身が違います。「賃貸可」と書いてあっても、申請するのが誰なのかまで読む必要があります。

税の軽減はマンションも対象になりやすい

現金の補助ではありませんが、相模原市の省エネ改修に対する固定資産税の減額のような制度もあります。床面積の要件に「共同住宅にあっては、独立した区画ごとに40平方メートル」という区分が置かれており、分譲マンションも対象です。ただし賃貸住宅は除かれます。自分で住んでいる分譲マンションの窓を替えたときの選択肢として覚えておくと役に立ちます。

分譲マンションで工事する前に確認すること

制度の対象になっていても、マンションはもう一段の関門があります。

  • 専有部分か共用部分か:マンションでは窓サッシや玄関ドアが共用部分として扱われていることがあり、その場合、外窓の交換には管理組合の合意が要ります。既存の窓の内側に取り付ける内窓(二重窓)については扱いがマンションごとに異なるため、工事の内容が決まったら、まず自分のマンションの管理規約を確認し、管理組合や管理会社に相談してください。当サイトでは規約の一般的な扱いを断定できないため、可否の判断は各マンションでの確認をお願いしています。
  • 管理組合としてまとめて申請する道:窓リノベのように管理組合が申請者になれる制度なら、建物全体でまとめて改修する選択肢もあります。総会の決議が必要になるため、年単位の準備を見込んでおきましょう。
  • 市の補助が「戸建てのみ」でないか:国は対象でも、市の上乗せ分は戸建て限定ということがあります。当サイトの各制度ページには対象住宅種別を載せていますので、申請前にご確認ください。

賃貸に住んでいる人が進めるときの順番

  1. 先に大家さん・管理会社に相談する。工事の承諾がなければ、どの制度でも話が始まりません。退去時の原状回復をどう扱うかもここで決めておきます。
  2. 賃借人が申請できる制度かを確認する。国の窓リノベは賃借人が明記されていますが、市の補助は「自ら所有し居住する者」に限る例が多数です。
  3. 設備を置いていくのか持ち出すのかを決める。補助を受けた設備は一定期間、勝手に処分・転用できない決まり(財産処分の制限)があります。窓リノベは賃貸住宅の入居者が退去・転居する場合を例外として扱っていますが、制度ごとに違うため事前の確認が要ります。

なお、横浜市のYGrEP(ポイント還元)のように、公式の規約を読んでも賃貸入居者の可否が書かれていない制度もあります。当サイトではこうした場合、推測で「使える」と書かず「未確認」と記載しています。判断がつかないときは所管課に電話で確認するのが確実です。

まとめ

持ち家の戸建てでなくても、あきらめる必要はありません。国の窓リノベのように賃借人や管理組合を対象者として明記している制度があり、市の制度にも逗子市や鎌倉市のような例があります。一方で、市の補助の多くは「自ら居住する持ち家」が前提です。「使えるか」ではなく「自分の立場で申請できるか」という読み方をすると、間違いが減ります。制度ごとの対象や併用の考え方は補助金の併用ルール入門、申請の段取りは申請の流れと必要書類もあわせてご覧ください。工事を頼む業者の探し方はリフォーム業者の選び方で解説しています。

本記事の対象者要件は2026-08-24時点で各制度の公式サイト・交付要綱を確認したものです。要件は年度や改正で変わり、マンションの管理規約は建物ごとに異なります。申請前に必ず先進的窓リノベ2026事業など各制度の公式サイトと、お住まいの市区町村の所管課でご確認ください。